224日目
宿泊地 : タンザン鉄道列車内 / タンザニア
移動 : ダル・エス・サラーム → ムベヤ(25h)
【19:00~翌日20:00(列車)】
次の目的地マラウィへ向かうべく、宿を出ようとしたときこと。以前エチオピアとケニアで会った日本人の旅人と再会した。
元気でしたか?どこに行っていたんですか?と互いの近況について言葉を交わしたあと、話はダルエスサラームの治安に移った。雰囲気は思っていた以上にまずいですよねぇ、こりゃナイロビ市街の比じゃないね、夜は絶対に出歩きたくないね、なんて話していると、この街でごく最近、強盗にあってしまった日本人がいるという話を聞かされた。
しかも、それが知っている人だったので驚いた。
彼とはナイロビのニューケニアロッジで会っていた。そのときドミが同室だったのだが、とても人懐っこく気さくで、それでいてまじめで芯が通っている、打ち解けやすい人当たりの良い年下のバックパッカーだった。最後に彼と会ったのは宿の屋上、ナイロビの夜景を眺めながら飲んだのが最後だった。
幸い旅を続けられなくなるほどのケガを負わされたのではなかったため、なんとか旅を再開することができたとのことだった。
一体どんな状況で・・・。聞いてみるとこういうことだった。
彼はここダルエスサラームに滞在中、次の目的地へタンザン鉄道をつかって移動しようと考え、市内にあるタザラ(タンザン鉄道)の駅でチケットを買った。その帰り、駅前の通りで市の中心へと戻るダラダラ(ミニバスのようなもの)を拾おうと道路に近づいたとき、突然3人の男に襲われ、その横につけた車の中へと押し込まれてしまったらしい。それが夕方や早朝でなく、真昼間に起きたことだという。
日中、タザラの駅、駅前からダラダラ・・、昨日自分がとった行動と何一つ変わらない・・・。
ナイロビで彼と二人でバスステーション沿いの通りを歩いているとき、言われた言葉を思い出した。
「よくそっち側(バス側)を歩けますね。突然引き込まれたらおしまいじゃないですか。俺はこっち(建物沿い)を歩きたいですね。」
少なくとも自分よりは警戒心の強い人間だった。誰がやられてもおかしくないのだと思った。きっとたまたまだったのだろうと思う。たまたまそのときそこを歩いていたのが彼だっただけなのだろうと思う。
【駅前の通り 人通りも少なくはない】
車に押し込まれた彼は、4人の男に囲まれるように乗用車の後部座席の真ん中に座らされた。そこで諦めておとなしくしていればよかったのかもしれない。しかし、突然そのような苦境に立たされた人間が、とっさに自分の置かれた状況を把握し、落ち着きを取り戻すことは難しい。彼は逃げようとした。ドアのロックをはずしドアから逃げようとした。そして、殴られた。小さな車の中、大きな黒人4人に囲まれ、その中で何度も顔を殴られた。
彼の味わった恐怖を考えると、涙が出そうになる。どれだけ心細くて不安で怖かったのだろう。きっとそのときは痛みさえ感じないほどの恐怖の中にいたのではないかと思う。
結局かれは持っている現金などを全て奪われ、市の中心から少し離れたオイスターベイというビーチに、車の窓から投げ捨てられた。気づくと足の指の爪まではがれていたという。
昔から持っていたアフリカ縦断の夢、今回その夢をかなえるために強い決意と大きな希望を持ってアフリカ大陸へやってきただろう彼だったが、その彼でさえ、事件後は帰国を考えたと言う。想像を絶する恐怖だったろうと思う。自分がナイロビで荷物の盗難にあったとき、直接危害を加えられたわけでもないに関わらず、周りの人間、雰囲気ががらっと変わり、全てが何か悪意を持ったように見えてきてしまったことを思い出した。数日間は外を歩くのに恐怖を感じた。顔も見ていない人間に荷物を盗られただけで。
精神だけでなく体にも恐怖をリアルに植えつけられ、それでも最終的に旅を続けようと気持ちを持ち直すことができた彼の心の強さには心底感服する。自分でもそうできただろうか、少し自信がない。
そのとき自分が傍にいたとしても、後悔しないためにも続けたほうがいいよと、心では思えど言えないかもしれない。もしこの先の旅でまた同じようなことに遭ってしまったら彼の負うトラウマはどれだけのものになってしまうのか。恐怖心なんてそう簡単に消えるものではない。
きっとまだ乗り越えるとは言えない段階にいるのだと思う。それでも続けようと、自分で考え自分で決めた。その強さを思うとまた涙が出そうになった。
具体的に何を話したい、何をしたいというわけではなかったけど、彼に追いついて話がしたくなった。今はマラウィかザンビアまで移動しているらしい。少し急いでみようと思いながら、その日の夕方、タンザン鉄道に乗った。
【タザラの駅】
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