2009年2月25日のブログです
201日目 | ||||
宿泊: | 名称不明(イシオロ) | |||
移動: | 前日9:30 / | モヤレ | ||
↓ ローリー(32時間) | ||||
17:30 / | イシオロ |
【ローリーの荷台 始めのうちは快適だった】
【ガタガタ進む】
【徐々に人が増えていき、最終的には身動きがとれない状態になってしまった】
「ローリーの旅がどんなものだったかは次の日記に・・」などと前日の記事に書いたものの、こういうものは写真や動画を写真を見たほうがわかりやすそうなので、上の動画と写真ページを見てみてください。
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この移動中、賄賂を要求する役人たちと何度も遭遇した。彼らはローリーを止めて荷台に乗り込み乗客を見回す。その中から目ぼしい者を見つけると敷き詰められた乗客の間を割っていき、おそらくはパスポートと思われる身分証明書の提示を迫った後に現金を巻き上げる。これまでの経験上、こうしたシチュエーションでは日本人である自分がまっ先に狙われるのだが、意外なことにこの区間では一度も賄賂を要求されることがなかった。
これは一度や二度のことではない。頻繁にあった検問において例外なく全ての役人が同じ行動をとった。これはなかなか興味深いことだった。ターゲットは先進国からの旅行者ではなく人、出稼ぎを目的とした不法入国者(エチオピア人)だった。言い換えれば「持っている者」ではなく「搾取しやすい者」だったわけだ。
【武装強盗が出没するエリアでは銃を持った服警官が同乗してくれる】
彼らが不法入国者を狙う理由は大きく2つあるのではないかと考えた。
1. 成功率が高いこと
2. 罪悪感をあまり感じずにすむこと
ここまで来たら後戻りはできない。先に法を犯し完全に弱い立場にある不法入国者は要求に応じるしかなく、役人たちは高い確率で金銭を巻き上げることができる。立場が明確であるため話が早い。小さな労力で簡単に賄賂を手にすることができる。これが1。次に2。賄賂を要求するような腐ったところのある人間でもどこかに良心があり、「部分的にではあるが」正義をもって行為に及べることが、長く賄賂要求の活動を続けていくうえでは意外と大きい要素なのではないかと考えた。総合してみると、成功すれば大きな金額を手にできる旅行者を狙うよりも効率が良いのかもしれない。
【きれいな衣装を着た民族と警官らしき人】
しかし、そのときに一つひっかかったことがあった。立場の強弱、道徳的な善悪、そのどちらについても合理的と思えたこの行動だが、日本でも同じように見られるのだろうか。基本的には大きく変わらないのかもしれないが、少し違ってくるような気がした。少なくとも今回のように100%ではないと思う。というのも、あくまで感覚的なものだが、日本では弱者に対する憐憫や強者への嫉妬から、ターゲットが(旅行者に)代わる可能性があるように思えるからだ。見方によってはこのような例がでることは高尚であり美しいのだが、論理的に考え身の安全を感じることができた今、イメージした日本がとても面倒に感じられた。ここで良い悪いについては触れないが、このときは「複雑」な日本社会が鬱陶しく思えてしまった。
「日本に帰るの嫌だな。」
先進国では考えられないような手段で移動しながら、自然に近い感覚から理解しやすいやりとりを眺めているうちに、単純と言うよりもむしろ原始的と表現したほうが近いような感覚にとらわれていたように思う。
旅行中、ネガティブな感情とともにこのように考えることがたまにあるのだが、今日はそれを感じた。そのときによってきっかけが違うため今まで気づかなかったが、今回は極端に異なる状況におかれていたためか、ふと「複雑さ」がこれまでの日本社会へのネガティブな感情の共通の原因となっているような気がした。
【帆を張る鉄棒の上まで満員】
決して裕福ではないはずのエチオピア人がなけなしのお金を巻き上げられる。頼るあてもない異国の地に片道切符でやってきた不法入国者にとっては、仕事を見つけるまではこのお金こそが命の次に大切なものだろう。しかし、彼らは抵抗することなく淡々と素直にお金を差し出していた。
始めは意外に思ったが同じ光景は繰り返されるのを見ているうちにはっとした。それはそうだ、シンプルな強弱の論理は双方に通用するはずだ。それと同時に、もう一つ重要なことに気がついた。
自由は複雑なものの中にしか存在できないのかもしれない。帰国してからはシンプルに生きていこうという気持ちが強くなってきているが、それはあくまで自分の中の問題であって環境に求めてはいけない。シンプルな環境は個人から自由を奪う。
帰りたくないと思ったのもつかの間、やっぱり日本に帰りたいと思った。
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